鴨たちの井戸端


友人とバイクで公園に行った。自販機でコーヒーを買って池の前のベンチにすわる。近状を話し合いながらコーヒーを飲んでいると、鴨が近づき横目でぼくを見た。

「おい、何か食い物をよこせよ」と鴨が言った気がした。
「君たちがいるなんて知らなかったよ、知っていれば何か持ってきたのに」そう心で思ってみた。
「ちぇ、気がきかないな」
鴨は足元の枯れた草を突っついた。

遠くのほうで泳いでいた鴨たちが集まってきた。
「あれ、なーんだ。何もないじゃん。こいつ、人鴨渡り鳥保護協定を知らないな」
「そうさ、ぼくたちと知り合いになりたかったら、まず食べ物だよ」
「この異常な寒波だ。何千キロも渡来してきたのに食料不足だなんて」
鴨たちは勝手なことを言いはじめた。


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いつかのことば